相続した不動産は放置しておかないことです。
土地や一戸建・マンション等個人が所有する不動産は、万が一のことがあった場合など、親から子へと相続によって所有権が移転することもあります。
相続によって親が所有していた不動産を譲り受ける場合、相続税が発生することもあります。
また自分たちが居住している不動産でなく、遠隔地にある場合は日々の管理が難しいこともあるでしょう。
管理が難しいからといって、放置しておくことは防犯上も得策ではありません。
近時、空地空家条例を施行する自治体も増えてきています。
その間も固定資産税を払い続けなければなりませんし、
一戸建は通風がなければ傷みが進んでしまいます。
マンションであったとしても、その価値は下がってしまいます。
そこで考えられる対応策が、利用予定が今後もないのであれば、その不動産を売却するということ。
しかし相続不動産の売却は、名義変更が必要であったり、相続人が複数いる場合のトラブルなど、簡単にはいかないこともあります。
両親と離れて暮らしている方や、既に不動産を相続しているけれど特に活用されてない方など、ぜひこの機会に相続不動産の売却について 基礎的な知識を身につけておくとよいでしょう。
不動産を相続した場合、元の所有者(被相続人)の所有名義だったものを、相続を受けた人の名義に変更する必要があります。これを相続登記といいます。
実はこの相続登記は、いつまでに手続しなければいけないという期限がありません。
そのため、被相続人の死後、つい土地や建物の名義を変更しないままにしてしまうこともあります。
しかし相続登記を行い名義を変更していなければ、様々なデメリットが生まれます。
売却することができないということも、その一つ。
例えば親が土地を所有していた場合、相続登記をしなければ自分の判断で土地を売却することも、担保にしてお金を借りることもできません。
相続登記をしないことで生じるデメリットは他にもあります。
不動産を相続することになったなら、 なるべく早い時期に相続登記を行うようにしましょう。
・売却などの処分が自由にできない
・将来的に相続人が増える可能性がある
(相続人の一人が亡くなると、その子息といった家族が相続の権利を引き継ぐため)
◇相続人が複数いる場合
上記では、相続した不動産を売却するためには、相続登記による名義変更が必要だと説明しました。
しかし相続財産は、相続する人が確定していなければ、法定相続人(民法で決められている相続する権利のある人=配偶者や子供等)全員の共有財産となります。
勝手に自分のものだとして売却することはできません。
現実には、相続する遺産は「実家のみ」であるなど、簡易な分割が難しいケースも少なくありません。
しかし長引く不況を背景に、ささやかな額でも相続を期待している人も増えています。
そのため家族や親類でも、トラブルに発展する事例があります。
資産がないから、兄弟仲が良いからと安心してばかりもいられないのが実情です。
〇兄弟など相続人が複数いる場合、
相続した不動産を売却して、売却代金を相続人同士で分け合う「換価分割」という方法があります。
この方法であれば明確に分配できるのでトラブル防止になります。
換価分割を行う場合、実際に売却手続のできる相続人を選び、選ばれた相続人が自分の名義にした上で売却手続を行うこととなります。
その際は、遺産分割協議において、誰が売却するのか、 売却代金の内の各自の分割額を決めるとよいでしょう。
相続した不動産であっても譲渡益の申告が必要。
相続した不動産であっても、売却して得た利益(譲渡益)は課税の対象となります。
忘れずに確定申告しましょう。
尚、譲渡所得の申告には譲渡した不動産の取得費及び減価償却の額が必要になります。
また減価償却費を算出するためには取得時期の判明が必要です。
取得時期や取得費はどうなるのかというと、被相続人から引継ぐことになります。
相続不動産の場合、相続人がその不動産についてよくわかっていない場合もありますが、減価償却費や取得費の計算を行うためにも、その不動産を購入した当時の売買契約書を探しておきましょう。
売買契約書が見つからず取得費がどうしても分からない場合は、
売却した際の譲渡金額の5%相当額
(3,000万円で売却した場合は、150万円)を取得費とすることができます。※税額については最寄り税務署でご確認ください
上記の通り、相続不動産の売却には、遺産分割協議や相続登記等と段取りが多くなります。
相続人が集まれる機会も限られるため、なるべく早いうちに話し合い、手続を行うべきです。
特に相続人が複数いる場合には、一度機会を逃してしまうと、「なぜ今頃…」と他の相続人との交渉も難しくなってしまうこともあります。
但し、借金や負債などマイナスの相続財産がある場合には注意が必要です。 相続不動産を売却してしまえば、相続を単純承認したこととなります。 借金まで相続することになったとして、後での相続放棄はできません。
大きなトラブルを防ぐためにも、事前に 行政書士・司法書士・弁護士等、専門家に相談しておくとよいでしょう。